今年作ったブレンドコーヒーの中で、最も開発に苦労したブレンドだったかもしれません...

口に含んだ瞬間、秋らしい赤色と黄色を連想ただけるような味わいにしたいと考え、甘いベリー感のあるエチオピアのナチュラルをベースに、柑橘の風味を持つコスタリカのブレンドから試作を開始しました。
最初にそれなりに美味しいブレンドコーヒーが出来たのですが、なんだか秋らしくないシャープな酸味が特徴なコーヒーということで、ボツにしました。
ただそのコーヒーには、かすかにサツマイモのような風味や甘さがありました。
とても秋らしく面白かったので、よりマイルドな風味に仕上げつつ、サツマイモのような風味をお楽しみいただきたいと考えながら再度調整を進めましたが、何度やっても酸っぱい感じになってしまいます...
サツマイモに引っ張られすぎたことに反省し、もう一度『秋らしさ』について考えなおしました。
紅葉を連想できるような味わいにしたいですが、秋は気温も冷え込んでくるので、フレッシュなベリー感ではなく、皆さまの心が落ち着くようなコーヒーにしたいと思い、エチオピアのナチュラルをベースにしていたところから、ブラジルベースに変更しました。
アクセントにエチオピアのナチュラルやコスタリカを加えることで、落ち着いた味わいかつほんのり赤色や黄色の果実のような風味を狙いましたが、落ち着きすぎて暗い味わいになってしまったり、コーヒーの個性がぶつかり合って刺激的な酸味になったり、まとまりがなかったり...
ここでも完全に行き詰ってしまったので、バランス良いコーヒーにフルーティなコーヒーを合わせるということをやめることにしました。
そこでなんとか試していないこと...というような苦し紛れなかたちでブラジルのコーヒーとグァテマラのバランスの良いマイルドなコーヒーをブレンドしてみました。
なんと、ブラジルとグァテマラの落ち着いた酸味が見事に調和して、ほんのり明るい印象も与えつつ、まるで栗のような甘い味わいと柑橘のような黄色を連想させる風味に仕上がりました!

最後は焙煎士としての腕のみせどころ、ブラジルとグァテマラの比率を調整しながら、エチオピアを少々加えることで、一口飲めば秋を感じられる。
そんな味わいを実現することが出来ました。
ぜひ、あなたの秋の味覚のひとつに『竜田ブレンド』をお楽しみください。