【コーヒーのこと。】ドリップコーヒーとは?ヘッドバリスタが徹底解説します!
ご自宅でのコーヒーのいれ方として、多くの方に選ばれているドリップコーヒー。
ドリッパーと呼ばれる専用のコーヒー器具に、コーヒー粉をいれて丁寧にドリップするコーヒーの抽出方法です。
以前アンケートを実施させていただいた際、ロクメイコーヒーのお客様のなかでも、もっとも多い淹れ方でした。
今回は、そんなドリップコーヒーについて、ロクメイコーヒーのヘッドバリスタである下峯バリスタがご紹介いたします!
この読み物の内容をざっくりお伝えすると…
・ドリップコーヒーにもたくさん種類がある。
・実はポイントさえ抑えれば、ドリップコーヒーを淹れることはとても簡単!
・美味しいドリップコーヒーを楽しむための道具選びと、コツ、レシピを守って美味しいドリップコーヒーをいれてみましょう!
この読み物を読んで、少しでもおうちでドリップコーヒーを楽しむきっかけになれば幸いです。
目次
ドリップコーヒーとは?
ドリップコーヒーとは、『ドリッパー』と呼ばれるコーヒー器具を使用して、コーヒーを抽出する方法です。
ドリッパーにフィルターをセットして、コーヒーの粉を入れたら、お湯を注ぎます。
ドリッパー内で、コーヒーから美味しい成分をお湯に溶け出させて、フィルターで濾された液体がドリッパー下部に空いている穴から落ちていきます。
この原理で抽出する方法を『透過式』といいます。知ってると少しかっこいいですね。
このように、ドリッパーというコーヒー器具を使用して、お湯を濾して抽出する方法をドリップコーヒーと呼びます。
今ではたくさん!ドリップコーヒーの種類
ドリップコーヒーにも種類があります。
大きくわけて2つです。
①ドリッパーの違い
まずはドリッパーの違いです。
ドリッパーの形状や大きさにはたくさん種類があります。
例えば、円錐形のものや台形のもの、最近では三角形のものから底が平らになっているものなど、様々な形状の違いがあります。
②フィルターの違い
次に、フィルターの違いです。
フィルターとは、抽出したコーヒーの粉を濾すものです。
ペーパーフィルターとメタルフィルターの2つに分かれます。
ペーパーフィルターのコーヒーは、コーヒーの粉と、コーヒーの油分も合わせてカットするためすっきりした味わいのコーヒーがお好きな方におすすめです。
反対に、メタルフィルターはコーヒーの油分を通すので、コーヒーオイルのアロマやまったりした口当たりを楽しむことに適しています。
まるでフレンチプレスのような味わいをドリップで行うようなイメージですね。
コーヒー器具メーカーだけでなく、アウトドアやアパレル、インテリアなど様々なメーカーが独自に開発を行ったり、ここ数年で、いろんなドリッパーが増え、その種類は数えきれないほどになっています。
ドリップコーヒーの難易度は?
『ハンドドリップ』と聞くと、なんだか喫茶店のマスターが職人技のように、こだわりの一杯を淹れているイメージを想像して「なんだか難しそう…」と思う方もいるかもしれませんが、実はとっても簡単なんです。
実際にやってみると、意外と出来てしまうからこそ、ドリップが多くの方に選ばれている大きな理由のひとつかもしれませんね。
もちろん、細かいところまで突き詰めようとすると、とても奥深いドリップコーヒーの世界ですが、ご自宅で楽しむ分には、さっと気軽に暮らしに取り入れていただければ幸いです。
ロクメイコーヒーでは、新入社員がドリップコーヒーを淹れるトレーニングに要する期間は約1か月です。
早い人だと、1週間でお客様に提供できるようになるバリスタもいるくらいです。
私も、約10日ほどでドリップコーヒーのテストは合格をもらいました。
翌日から、実際にお客様にコーヒーを提供して「美味しかったよ」と言われてとても嬉しかったことを覚えています。
これは、ロクメイコーヒーのドリップテストが簡単というわけでは決してなく、きちんとポイントさえ抑えれば、美味しくドリップコーヒーを淹れることが出来る技術や知識が言語化され、一般化しているということです。
それでは、美味しいドリップコーヒーを淹れるためのポイントをご紹介していきますね。
ドリップコーヒーを淹れるために必要なコーヒー器具は?
まずは、道具選びからです。
正しい道具を準備するだけで、美味しいコーヒーを淹れる難易度はぐっと下がります。
私たちプロのバリスタであれば『弘法筆を選ばず』なんて言葉の通り、どんな道具でも美味しいコーヒーを淹れる必要がありますが、ご自宅でお楽しみいただく際には道具選びはとても大切になってくると思います。
①絶対に必要なコーヒー器具
・コーヒードリッパー
・ペーパーフィルター
・美味しいコーヒー豆
・カップ or コーヒーサーバー
②あると劇的に美味しくなる道具
・スケール
・タイマー
・コーヒーミル
・温度計
③あると便利な道具
・ドリップ用の細口ケトル
①の道具があれば、とりあえずドリップコーヒーを淹れることは出来ます。
さらに②を準備するだけで、おうちコーヒーのレベルがぐんと上がるのです。
私たちは、お客様にはよく②までは揃えていただくよう、おすすめさせていただいております。
ドリップコーヒーを美味しく淹れるポイント
それでは、ドリップコーヒーを美味しく淹れるポイントをご紹介していきます。
①重さを量る。
まず、重さを量ることです。
使用するコーヒーの粉の量から、ドリップをしている間も、何gのお湯を注いだかを計測します。
コーヒーとお湯の比率を合わせるだけでも大きく味わいが安定します。
②時間を計測する。
次に、時間を計測します。
ドリップ中の重さと合わせて測ることで、自分が今どれくらいのペースでお湯を注いでいるのか、抽出全体に何分かかったか、を計測します。
これを行うことで、さらに毎回の味わいが安定するだけでなく、「今回はちょっと早かったかな、次はもうちょっとゆっくり淹れてみよう!」というように、修正が出来るようになります。
ロクメイコーヒーが選んだドリッパーとその理由
ロクメイコーヒーでは、奈良本店と富雄店では使用しているドリッパーが違います。
奈良本店では、ハリオのV60ドリッパーを使用しており、富雄店ではカリタのカリタウェーブドリッパーを使用しております。
奈良本店がハリオのV60ドリッパーを使用する理由。
奈良本店でハリオのV60ドリッパーを使用する理由には、その『自由度の高さ』にあります。
ハリオのV60は円錐形スパイラル構造の底面に、大きな穴が空いていることが大きな特徴です。
この構造により、お湯の落ちるスピードが早く、注湯のスピードや勢いなどで、細かい味わいのコントロールが可能になります。
カフェスタイルの奈良本店は、細かな淹れ方の変化で、幅広くコーヒーの味わいを調整でき、バリスタの技術を最大限にお楽しみいただくことができるようハリオのV60ドリッパーを選んでいます。
幅広いコーヒーに合わせて、対応できるドリッパーですので、コーヒードリップ自体を楽しみたい!という方にはハリオのV60がおすすめです。
富雄店がカリタのカリタウェーブドリッパーを使用する理由。
焙煎所である富雄店で、カリタウェーブドリッパーを使用しています。
その理由は、カリタウェーブの大きな特徴である、平らな底面に3つの穴が空いているという構造と、専用のペーパーフィルターによって実現できる『再現性の高さ』です。
常時18種類以上のコーヒー豆の販売を中心に、ご自宅でのコーヒーライフをご提案している富雄店だからこそ、自宅でも簡単に再現ができるレシピを追求しました。
簡単に、でも自宅で淹れたてのコーヒーを楽しみたい!という方にはカリタのカリタウェーブドリッパーをおすすめしています。
気になるロクメイコーヒーのレシピを大公開!
それでは、皆様気になって仕方がないと思います。
レシピのご紹介です!
奈良本店のドリップレシピ
器具:ハリオV60 01(1~2杯用サイズ)
コーヒー豆(粉):15g
メッシュ(粉の挽目):中挽き
抽出温度:93℃
1投目 30gまで注いで、30秒蒸らします。
この時、中心から外に広げるイメージで、しっかりとコーヒー粉にお湯をなじませてください。
だいたい3秒~5秒以内に30g注ぎきることができるように、さっと注ぎます。
多少湯量がオーバーしても良いので、「コーヒー粉全部を濡らす」を意識しましょう。
お湯を注ぎ終えたら、タイマーの計測をスタートしてください!
↓
2投目 中心からのの字をを描くようにして、100gまで注ぎます。(45秒を目掛けて注ぎます。)
↓
3投目 ドリッパー内のお湯が1/2まで下がったら…(だいたい1:05秒前後)
のの字に160gまで注ぎます。(1:18秒を目掛けて注ぎます。)
↓
4投目 200gまで注ぎます。(1:40秒を目掛けて注ぎます。)
この時に、ドリッパー内の粉の壁を崩します。ドリッパー側面にお湯を落として、ドリッパー側面のコーヒー粉を流し落とすようなイメージで注ぎます。
↓
落とし切りで完成です!
4投目のいわゆる「土手崩し」については、え!っと思われるかもしれませんが、ぜひやってみてください。
ドリッパー中心のコーヒーは、直接お湯がかかるため、成分がしっかり引き出されますが、ドリッパーのすみっこのコーヒー部分はそうではありません。
1gも余すところなくコーヒー成分を引き出すことを大切にした考え方です。
「なんだか薄くなってしまいそう…」と心配な方に、さらに細かく説明をすると、このレシピでは3投目まで少し濃い目に抽出していて、最後の1投分ではネガティブな成分(渋みやえぐみ)が出ないようにレシピ全体で合わせています。
なので、4投目は濃度調整の役割を担ってくれて、この4投目をさっと注ぐことで「適度な濃度」になるようにしています。
ぜひ、だまされたと思って、試してみてください。
富雄店のドリップレシピ
器具:カリタウェーブドリッパー
コーヒー豆(粉):15g
メッシュ:中挽き
抽出温度:93℃
1投目
30gまで注いで、30秒蒸らします。
この時も、中心から外側に広げていくイメージで、しっかりとコーヒーの粉を濡らしましょう。
こちらもだいたい3秒~5秒以内に30g注ぎきることができるように、さっと注ぎます。
お湯を注ぎ終えたら、タイマーの計測をスタートします!
↓
2投目
中心からのの字をを描くようにして、100gまで注ぎます。(40秒を目掛けて注ぎます。)
3投目
ドリッパー内のお湯が1/3まで下がったら、ドリッパー内の真ん中めがけて160gまで注ぎます。(55~60秒を目掛けて注ぎます。)
画像のように、中心に落としたら動かしません。
あとは、これを1回繰り返すだけなので、ケトルの扱いに慣れないうちでも美味しいコーヒーが淹れられます。
↓
4投目 ドリッパー内のお湯が1/3まで下がったら、ドリッパー内の真ん中めがけて210gまで注ぎます。(1:15秒を目掛けて注ぎます。)
↓
落としきりで完成です!
とっても簡単ですよね。
最初の30gの蒸らしが終わったあとは、3分の1まで水位が下がったら100g→160g→210gとスケールの合計を合わせてもらうだけの、簡単レシピです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。「ご自宅でもドリップしてみようかな?」「なんだかいつもより美味しく淹れられそう!」そんな風に感じていただけますと幸いです。
奈良本店も、富雄店でもドリップカウンターで、バリスタとコミュニケーションをとれるようにしていますので、ぜひお気軽にバリスタに聞いてくださいね。
最後に、要点をまとめると。
・ドリップコーヒーにもたくさん種類がある。
・実はポイントさえ抑えれば、ドリップコーヒーを淹れることはとても簡単!
・美味しいドリップコーヒーを楽しむための道具選びと、コツ、レシピを守って美味しいドリップコーヒーをいれてみましょう!
この読み物を読んで、皆様のコーヒーライフが少しでも豊かになりましたら、幸いです。