暑い季節に飲みたくなるアイスコーヒー。実は淹れ方によって、味わいも手軽さも大きく変わります。
「アイスコーヒーとコールドブリューって何が違うの?」「どの豆を選べばいい?」「作り置きはどのくらい日持ちする?」
——この記事では、そんな疑問に焙煎技術の日本大会で優勝した焙煎士がお答えします。
3つの作り方それぞれの手順から、豆と挽き目の選び方、分量の黄金比、保存方法、アレンジまで。
おうちで本格的な一杯を楽しむための情報をまとめました。
「アイスコーヒー」と「コールドブリュー」は何が違う?
まず、混同されやすい言葉を整理しておきましょう。
アイスコーヒーは「冷たいコーヒー」全般を指す言葉で、作り方は問いません。
一方、コールドブリュー(cold brew=冷たい抽出)は、お湯を使わず水で時間をかけて抽出する方法のことで、日本語の「水出しコーヒー」とほぼ同じ意味です。
つまり、コールドブリューはアイスコーヒーの作り方のひとつ、という関係になります。
なお、同じ水出しでも抽出方法は2種類あります。
・浸漬式(しんししき):粉を水に浸けておく方法。ご家庭では一般的。
・点滴式(ダッチ式):水を一滴ずつ落とす方法。専門店の器具で使われる。
この記事で紹介するのは、ご家庭で手軽にできる浸漬式です。
アイスコーヒーの3つの作り方を比較

作り方は大きく3タイプ。
1. 水出し(コールドブリュー)― まろやかでクリーン
挽いた豆を水にひと晩浸けて、ゆっくり抽出する方法です。
お湯を使わないため苦みや渋みの角が取れ、なめらかでクリーンな甘さが際立ちます。
まとめて作り置きできるのも利点です。
【所要時間】8~12時間
【苦味・渋み】出にくい
【必要な道具】ポットまたは専用ボトル
【作り置き】向く(2~3日)
【こんな方におすすめ】すっきり飲みたい/まとめて作りたい
2. 急冷式(ホットで淹れて氷で冷やす)― 香り高い
いつものハンドドリップで濃いめに淹れ、氷で一気に冷やす方法です。
香りの立ち方がいちばん豊かで、淹れたての華やかさをアイスでも味わえます。
思い立ってすぐ作れる手軽さも魅力です。
【所要時間】5分
【苦味・渋み】やや出やすい
【必要な道具】ドリッパー、サーバー
【作り置き】向かない
【こんな方におすすめ】香りを楽しみたい/すぐ飲みたい
3. リキッド(ボトルタイプ)― いちばん手軽
抽出済みのコーヒーをボトルに詰めたタイプ。グラスに氷を入れて注ぐだけで完成します。
無糖タイプならミルクを加えてカフェオレにするなど、アレンジも自在です。
【所要時間】注ぐだけ
【苦味・渋み】商品による
【必要な道具】なし
【作り置き】開封後は早めに
【こんな方におすすめ】手間をかけたくない
水出しアイスコーヒー(コールドブリュー)の作り方

いちばん人気の水出しは、手順さえ押さえればとても簡単です。
用意するもの
・コーヒー豆(中細挽き~中挽き)またはコーヒーパック
・水(浄水やミネラルウォーターがおすすめ)
・ポットや専用ボトル
分量の目安
・水量:500ml / 1000ml / 1500ml
・粉量:40〜50g / 80〜100g / 120~150g
・抽出時間:8〜12時間
手順
1.ポットにコーヒー粉と水を入れ、粉全体が水に浸るよう軽くなじませます
2.冷蔵庫でひと晩、8〜12時間じっくり抽出します
3.粉やパックを取り出せば完成。氷を入れたグラスに注いでお楽しみください
おいしく作るコツ
◎挽き目は中細挽き~中挽きが基本
お湯よりも抽出効率が低いため、少し細かめに。しかし、細かすぎると長時間の抽出で雑味が出たり、粉っぽさが残る原因になります。
また、味が薄いと感じたら、少しだけ細かくしてみてください。一度に大きく変えず、少しずつ調整するのがコツです。
◎抽出時間でも味は変わる
深いコクが好みなら長めに、すっきり飲みたいなら短めに。時間で表情が変わるのも水出しの楽しさです。
◎抽出後は必ず粉の取り出しを
入れっぱなしにすると過抽出になり、渋みや雑味が出てしまいます。
※注意:常温保管での抽出は避けてください
水出しは加熱しないため、常温で長時間置くと雑菌が繁殖するおそれがあります。抽出は必ず冷蔵庫で行い、完成後も冷蔵で保存してください。
器具がなくても、水に浸けて待つだけのパックタイプなら、手軽に本格的な味が楽しめます。
急冷式アイスコーヒーの作り方(ハンドドリップ)

香り高い一杯を楽しみたいなら急冷式です。
分量の目安(1杯分)
・粉量:15g(中挽き)
・湯温:93℃
・湯量:160ml
・氷:80~100g(サーバー用)、20~40g(グラス用)
― 通常のホットより粉を1.3〜1.5倍に増やすか、湯量を控えめにして濃いめに抽出するのがポイント
手順
1.サーバーに氷を入れます
2.中挽きのコーヒー粉をセットし、ドリップスタート
〈抽出レシピ〉
0:00 30ml(+30ml)
0:30 100ml(+70ml)
1:00 160ml(+60ml)
→注いだお湯が落ち切った後、サーバーの側面が冷えるまで氷を攪拌する
3.氷の入ったグラスに注いで、完成
おいしく作るコツ
氷で薄まる分を見越して濃いめに淹れることが最大のポイントです。氷は溶けにくい大きめのものを使うと、最後まで味がぼやけません。
急冷式は香りが命なので、作り置きには向きません。飲む分だけ、その都度淹れてください。
アイスコーヒーに合う豆と挽き目の選び方

焙煎度の選び方
しっかりとしたコクと苦味のある中深煎り〜深煎りはもちろん、豆本来のフルーティーな味わいですっきりと飲むことができる浅煎りもおすすめ。その日の気分で選んでいただくことで、幅広く楽しんでいただけます。
〈シーン別おすすめ〉
・すっきり飲みたい → 中深煎りのブレンド(水出し)
・コク重視/ミルクと合わせたい → 深煎り(水出し・急冷式)
・香り/果実味を楽しみたい → 浅煎り(急冷式)
挽き目の選び方
淹れ方によって最適な挽き目は変わります。
〈淹れ方別挽き目の目安〉
・水出し → 中細挽き~中挽き
理由:お湯に比べて水は抽出効率が落ちることから、少し細かめに挽いて効率的に成分を抽出するため
・急冷式 → 中細挽き〜中挽き
理由:短時間で濃く抽出する必要があるため
ロクメイコーヒーのアイスブレンドは、アイスで飲むことを前提に設計した、味の輪郭がぼやけにくい中深煎りのブレンドです。挽き方のご指定も承っています。
カフェインが気になる方へ(デカフェ・カフェインレス)
就寝前のリラックスタイムに、また妊娠・授乳中の方やお子さまと一緒に楽しみたいときには、
デカフェ(カフェインレス)という選択肢があります。
大切なのは製法です。薬品を使わず、水と炭素フィルターでカフェインだけを取り除く製法なら、コーヒー本来の風味を損なわずにカフェインを減らせます。「カフェインレスはおいしくない」というイメージは、すでに過去のものになりつつあります。
ロクメイコーヒーではデカフェの焙煎豆や、水出しの「COLD BREW DECAF」をご用意しております。
カフェインを気にせず、夜でもゆっくりアイスコーヒーを楽しむことができます。
もっと手軽に楽しむなら「リキッド」

「淹れる時間がない」「たっぷり飲みたい」なら、注ぐだけのリキッドタイプが便利です。
無糖なら、そのままはもちろん、ミルクや豆乳でカフェオレに、お好みで甘みを足して自分好みにアレンジできます。大容量やケース販売もあるので、毎日飲む方やまとめ買いにも向いています。
アイスコーヒーの保存方法
どのくらい日持ちする?
〈種類別日持ちの目安〉
・水出し(抽出後) → 2〜3日
・急冷式 → その都度飲み切る
・リキッド(開封後) → 商品表示に従う
保存のポイント
①密閉容器に移す
コーヒーはにおいを吸いやすいため、蓋つきの容器で保存してください
②粉は必ず取り除く
入れたままだと過抽出が進み、渋みが出ます
③常温に置かない
加熱していないため、衛生面からも冷蔵保存が基本です
時間が経つほど香りは失われていきます。おいしさを重視するなら、作った翌日までに飲み切るのが理想です。
アイスコーヒーのアレンジ3選

・アイスカフェオレ
濃いめに作ったアイスコーヒーと牛乳を1:1で。深煎りの豆がよく合います。
・コーヒートニック
アイスコーヒー100mlに対してトニックウォーター100ml。フルーティーな浅煎りの豆で作ると、爽やかな夏らしい一杯になります。
・コーヒーフロート
グラスに注いだアイスコーヒーにバニラアイスをひとすくい。少しずつ溶かしながら、味の変化を楽しめます。
よくある失敗と対処法
味が薄い
原因:粉が少ない/抽出時間が短い
対処:粉を増やすか、挽き目を少し細かくする
苦い・渋い
原因:抽出しすぎ/挽き目が細かすぎ
対処:時間を短く、挽き目を粗くする。粉は必ず取り出す
氷で薄まる
原因:濃度が足りない
対処:粉を1.3〜1.5倍に増やす。氷は大きめのものを使う
濁る
原因:微粉が多い
対処:挽き目を粗くする。フィルターを見直す
香りがしない
原因:豆が古い/保存不良
対処:焙煎日の新しい豆を使用する。冷暗所または冷凍で保存する
よくあるご質問
Q.水出しアイスコーヒーはどのくらい日持ちしますか?
A.抽出後は冷蔵庫で保存し、2〜3日を目安に飲み切ってください。時間が経つほど風味は落ちるため、早めがおすすめです。
Q.アイスコーヒーに向く豆はどれですか?
A.コクと苦味のしっかりした中深煎り〜深煎りがおすすめです。ロクメイコーヒーではアイスブレンドやコールドブリュー用のパックをご用意しています。
Q.普通のコーヒー豆でもアイスコーヒーは作れますか?
A.作れます。ただし冷やすと味を感じにくくなるため、ホットで飲むときより濃いめに淹れるのがコツです。
Q.水出しは常温で作ってもいいですか?
A.冷蔵庫での抽出をおすすめします。加熱しない製法のため、常温で長時間置くと衛生面のリスクがあります。
Q.カフェインレスのアイスコーヒーはありますか?
A.はい。水出しのCOLD BREW DECAFなど、カフェインレスの商品をご用意しています。
Q.ギフトにも使えますか?
A.はい。詰め合わせや大容量セットは、夏のギフト・お中元にもお使いいただけます。のし・ラッピングのご相談も承ります。
まとめ
アイスコーヒーは、水出し・急冷式・リキッドの3タイプから、暮らしのスタイルに合わせて選べます。
・まろやかに飲みたい・まとめて作りたい → 水出し(コールドブリュー)
・香りを楽しみたい・すぐ飲みたい → 急冷式
・手間をかけずに楽しみたい → リキッド
どの淹れ方でも、土台になるのは豆の質です。まずは手軽な水出しパックやリキッドから、こだわりたい方はアイス用の豆から始めてみてください。
監修者について
井田 浩司(株式会社路珈珈 代表取締役/焙煎士)

1974年創業のロクメイコーヒーで焙煎を手がける。焙煎技術の日本大会「Japan Coffee Roasting Championship 2018」優勝、翌年World Coffee Roasting Championship 出場。
ロクメイコーヒーは、世界の生産量のうちわずか数%といわれるスペシャルティコーヒーのみを扱う専門店です。豆の甘さを最大限に引き出す焙煎だからこそ、香り高く甘いアイスコーヒーが生まれます。