コーヒーの焙煎とは?現役の焙煎士が、焙煎について幅広くご説明します!
ロクメイコーヒーのこだわりといえば「焙煎」
2018年には、代表かつヘッドロースターの井田が「JAPAN COFFEE ROASTING CHAMPIONSHIP」という焙煎の日本大会で優勝を果たしました。
しかし、実際のところ焙煎って、何がこだわりで、何で味が変わっているのか、そのこだわりに触れる機会は少ないですよね。
今回はそんな焙煎のこだわりを、焙煎士の三浦が紹介致します。
この読み物の内容は…
・コーヒーの焙煎って何?
・なんで焙煎で味が変わるの?
・ロクメイコーヒーの焙煎のこだわり。
焙煎のこだわりの世界へ、この読み物を読んで一緒に飛び込みませんか?
目次
コーヒーの焙煎って何?
コーヒーの焙煎とは、『コーヒーチェリーの種子』を煎ることです。
普段よく目にする茶色のコーヒー豆だけ見ているとイメージがつきにくいですが、もともとコーヒーは果実。
赤道近くの地域で育てられる『コーヒーノキ』の真っ赤に熟れたチェリーを収穫され、その種が「コーヒーの生豆」になります。
その生豆を『焙煎』することで、普段よく目にする茶色のコーヒー豆になります。
風味が銘柄によって違うのも、それを聞くと納得できますね!
和歌山県産のみかんと愛媛県産のみかんの味わいが違うようなイメージです。
また、お米を買うときにも、コシヒカリや秋田こまちなど品種や銘柄で選んだりしますよね。
三浦の場合、瑞々しい秋田こまちが好みなのですが、コーヒーを選ぶ時も、そんな気軽な感覚で選んで楽しんでいただけたらと思います。
焙煎度合いで、大枠の味わいが決まる。
お客様にコーヒーの好みを伺うときに「苦みとコクがあるタイプか、スッキリして酸味のあるタイプか、どちらがお好みですか?」とまず尋ねることが多いです。
実は、コーヒーの銘柄・種類だけでは、酸味や苦味の強さは大きく変わりません!
大枠の味わいは、焙煎で決まります!
「モカのコーヒーが好きだけど、飲んでみたらイメージが違った…」といったお話をよく聞きますが、同じモカのコーヒーでもコーヒー屋さんによって焙煎度合いが違うことが原因です。
フルーティなモカを出す店もあれば、苦味のあるモカを出す店もあり、ギャップが生まれることがあります。
焙煎度合いが深くなればなるほど、苦味が強くなり、焙煎度合いが浅いほど、酸味の強い傾向になります。
もちろんコーヒーは作物なので、銘柄・種類で、酸味や苦味の強さや風味は異なりますが、大きく分けると焙煎度合いで味わいが決まります。
料理に例えると、ステーキのレアとウェルダンの違いみたいなものです。
レアに近づくほど素材の味わいを楽しむことができ、ウェルダンに近づくほど『焼いた』味わいを楽しむことができるかと思います。
焙煎中の化学変化で生まれる味わい。
コーヒーの焙煎中は、さまざまな化学反応が起きて、コーヒーの味わいが形成されていきます。
・焙煎前半〜中盤→ショ糖やクロロゲン酸が分解されて酸味の成分の形成される。
・焙煎中盤→メイラード反応が起きてコクと香りが生まれる。
・焙煎終盤→カラメル化が起きて、甘苦いコクと香りが生まれる。
化学な難しい話のように思えますが、簡単にいうと、『焙煎前半で酸味やフルーティな香りが形成され、焙煎後半で甘苦さやコクが形成される』ということになります。
浅煎りの方が酸味があって、深煎りの方が苦味やコクができるのも、化学反応から考えると納得ですね!
好みの味わいは、焙煎度合いから見つけることができる!
焙煎度合いで酸味や苦味のバランスが決まるということは、皆様からすると、好みの味わいを焙煎度合いから選ぶことが出来るということですね!
「モカのコーヒーが好きだけど、飲んでみたらイメージが違った…」
焙煎度から探すことで、こんなギャップの起きない、理想のコーヒー選びに近づきます!
しかし、焙煎度合いから選ぶ際に、また一つ問題が。
コーヒー屋さんによって、同じ焙煎度の表記であっても、焙煎度合いが全く違うことがあります。
同じミディアムローストの表記でも、想像していたよりも浅かったり深かったり…
他店と基準をすり合わせることはできませんが、ロクメイコーヒーの中での、基準についてご不明点がございましたら、遠慮なくお問い合わせください。
焙煎度合いはどうやって決めている?
焙煎度合いを見ると
「なぜエチオピアは浅煎りにしているの?」
「なぜインドネシアは深煎りにしているの?」
といった疑問に感じる方もいるかと思います。
ロクメイコーヒーで焙煎度合いを決めるときは、それぞれのコーヒーに合わせて「甘くて雑味がなく、コーヒー本来の味わいを楽しむことのできるコーヒー」を狙って焙煎度を決めています。
例えば、エチオピアナチュラルの場合、豆の温度が215度くらいで焙煎終了。
エチオピアウォッシュドの場合、豆の温度が213度くらいで焙煎終了しています。
なぜ同じエチオピアなのに焙煎度合いが違うのかというと、エチオピアナチュラルをエチオピアウォッシュドのように213度で焙煎を終えると、渋みが出てきてしまい甘さが阻害されるような味わいになってしまったからです。
これではロクメイコーヒーの狙っている「甘くて雑味がなく、コーヒー本来の味わいを楽しむことのできるコーヒー」にはなりませんでした。
コーヒー豆によって、大きさや水分の含有量などが違うため、それぞれ美味しくなる焙煎度合いのポイントが変わってきます。
そのため豆に合わせてベストな焙煎度合いを見つけていく必要があります。
しかし、そのベストの答えも一つではないと考えています。
なので、今後もしかしたら『エチオピアナチュラルの深煎り』などが発売されるかもしれませんのでその際はぜひお楽しみに…
プレミックス/アフターミックスブレンドとは?ブレンドもまた奥が深いんです!
様々なコーヒーを組み合わせることで、新たな味を作り出すブレンドコーヒー。
ブレンドの方法には2パターンあります。
・プレミックスブレンド
焙煎前に生豆をブレンドして一緒に焙煎。
・アフターミックスブレンド
1種類ずつ焙煎した後、焙煎豆をブレンド。
それぞれの良さはまた別の記事でご紹介しますが、アフターミックスブレンドの場合、様々な焙煎度合いの豆を混ぜることができるため、味わいから判断して、細かい焙煎度合いをお伝えするのは難しいという点があります。
極端な話、深煎りのコーヒーと浅煎りのコーヒーのブレンドも作ることができるのです!
以前に宮村バリスタが考案した「春宵ブレンド」は、深煎りコーヒーをベースに、浅煎りコーヒーをアクセントに入れることで、人気のブレンドとなりました。
毎月作成している季節ブレンドでは、そんな色んなアプローチを使いながら、季節のイメージを味わいで表現した様々なコーヒーをお作りしているので、ぜひお楽しみいただけましたら幸いです。
ロクメイコーヒーの焙煎機「Loring」
コーヒーを焙煎する焙煎機にも様々な種類があり、使う焙煎機によって味わいの傾向が変わります。
焙煎機の種類は大まかに分けて3種類
・直火式焙煎機
豆の入っているドラムシリンダーに穴が空いており、直接豆に火を当たる方式。
・半熱風式焙煎機
直下式のドラムシリンダーが穴の空いていない鉄板になり、ドラムからの伝導熱と排気で引き込んだ熱を使う方式。
・熱風式焙煎機
バーナーの位置がドラムの直下でなく外部にあり、外部のバーナーからの熱風をドラムに引き込んで熱を当てる方式。
ロクメイコーヒーの場合は、アメリカ製の熱風式焙煎機「Loring S15」を採用しています。
熱風式焙煎機は、直接火が当たらないため、特にクリーンで雑味のない味わいを作りやすい焙煎機。
また「Loring」は、独自のシングルバーナー技術で二酸化炭素を削減と消煙を行い、そして熱風が内部で循環するシステムでエネルギーの使用も削減しています。
私たちの求めている味を作り出し、サスティナブルで地球環境にも優しい。
コーヒーを通じて幸せの輪を広げることをミッションとしている私たちにとっての理想の相棒なのです。
味覚や嗅覚を研ぎ澄まして焙煎。焙煎機の温度計のこと。
先ほど「エチオピアナチュラルは215度で焙煎を終了している」と書きましたが、自分で焙煎をされている方がいらっしゃいましたら、同じように行うのはおすすめしません!
この温度はロクメイコーヒーで使っている焙煎機「Loring S15」でしか役に立たない数字です。
また、焙煎機によって温度計の取り付け位置や、温度計自体が異なり、同じ温度でも全く違う焙煎度になります。
ロクメイコーヒーでは他にもパナソニックの「The Roast」という焙煎機を使っていますが、
こちらではエチオピアナチュラル230度で焙煎を終了しています。
その他にも温度が変わる変数は沢山…
季節によって外気の影響を受けて温度計の数値が変わったり、温度計自体の状態で反応が変わったり(先日は温度計を新調したところ、反応がよくなりすぎて温度が変わってしまいました…)
焙煎プロファイル(どんな風に焙煎するかのレシピ)で変わったり、また見た目上の温度は同じように焙煎できていても、火の通り方が違うこともあります。
では、どうしているかというと焙煎中は、豆の色づき方や香りを確認して状況判断を。
そして焙煎後は、毎回カッピング(コーヒーのテイスティング)を行い、より美味しくできないか、次の焙煎に向けて微調整を行っています。
焙煎のレシピで変わる味わい。
焙煎度合いの話をしてきましたが、もちろん最終的な焙煎度合いだけでなく、焙煎の過程をどのようにするかで味わいが変化します。
何分何秒で焼いたか。
何分で豆がハゼたか。
豆を焼き始める時点の予熱は何度だったか。
焙煎中のどのタイミングでどれだけの熱を当てたか。
そんなコーヒー豆の、焼き方。つまり、レシピのことを「焙煎プロファイル」と呼んでいます。
実際に飲み比べないと違いは分かりづらいですが、焙煎前半で高い熱量を与えることで、明るい酸味を出したり、反対に焙煎前半の熱量を少し抑えることで、厚みのある口当たりを出すなど熱の当て方で味わいが全く変わってきます。
そのためコーヒー屋によって、それぞれの理想の味わいを作り出すため、焙煎の仕方が違い
味わいも変わってくるのです。
ロクメイコーヒーでは「甘くて雑味がなく、コーヒー本来の味わいを楽しむことのできるコーヒー」を作り出すためのプロファイルを独自で作り出しています。
ロクメイコーヒーの焙煎は、甘くてクリーンな味わいを一番大切にしています。
「甘くて雑味がなく、コーヒー本来の味わいを楽しむことのできるコーヒー」
この最終的なゴールを定めて、ロクメイコーヒーでは焙煎を行っています。
焙煎度合いやレシピなど説明して参りましたが、このゴールがわからないことには焙煎できません。
そのため私たちは「カッピング」というコーヒーのテイスティングを一番に重要にしています。
焙煎後は、複数名でカッピングを行い、目指している味わいとずれていないか確認。
またヘッドロースターである代表の井田とのカッピングで、ロクメイコーヒーとしての味の認識を繰り返し繰り返し擦り合わせていきます。
季節や豆の種類・状態によって、日々焙煎の状況が変わっていきます。
そんな状況変化に対応するため、またロクメイコーヒーを愛飲してくださっている皆様に安定した味わいをお届けするため、ロクメイコーヒーとしての軸を持つことが大切にしています。
味わいは、目に見えない世界。
だからこそコーヒーのこだわりは分かりづらい世界ですが、皆様方とコーヒーで幸せを広げ合うため、日々より良いコーヒーをお届けして参ります!
まとめ
美味しいコーヒーで日常を豊かに。
コーヒーが生み出す、色んな幸せを広げるため、ロクメイコーヒーは、美味しいコーヒーづくりにこだわり続けています。
そんなこだわりがたくさん詰まった焙煎の世界に触れ、コーヒーをもっと楽しめるようになる機会になれば幸いです。
富雄店では、焙煎をしている様子を眺めながらコーヒーを楽しむことができます。
また、コーヒーについてもっと知りたいことがあれば、ぜひバリスタやロースターにお気軽に聞いてみてくださいね。
この読み物を読んで、皆様のコーヒーライフが更に豊かになりましたら幸いです!